大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(く)76号 判決

よつて、案ずるに、一件記録に徴するときは、抗告申立人が、昭和二十九年十二月三日、東京地方検察庁検察官に対し、鷹野欽一郎を告訴したところ、昭和三十年九月二十六日、検察官より、右告訴事件につき公訴を提起しない処分をした旨の通知を受け、これを不服として、東京地方裁判所に対し、事件を同裁判所の審判に付することを請求したところ、同裁判所が、同年十月二十七日、右請求を棄却する旨の決定をし、該決定謄本が同月二十九日抗告申立人に送達されたことは明らかであるが、刑事訴訟規則第百六十九条によれば、刑事訴訟法第二百六十二条の審判請求書には、裁判所の審判に付せられるべき事件の犯罪事実及び証拠を記載しなければならないことになつているのに、抗告申立人の提出した審判請求書には、裁判所の審判に付せられるべき犯罪事実及び証拠の記載がないのであるから、抗告申立人のした前記審判請求は、この点において刑事訴訟規則所定の方式に違反するものというべく、なお、刑事訴訟法第二百六十二条によつて事件を裁判所の審判に付することの請求ができる場合は、刑法第百九十三条乃至第百九十六条又は破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)第四十五条の罪について告訴又は告発をした者が、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときに限られることは、右刑事訴訟法第二百六十二条第一項の明定するところであるが、一件記録によれば、抗告申立人のした前示告訴事実は、一私人に対する窃盗の罪であつて、右法条所定の罪に該当しない罪について告訴をしたものであるから、同法条によつて審判請求をすることができないものというべく、従つて、抗告申立人のした本件審判請求は、この点においてもまた不適法であるといわなければならない。してみれば、原決定が、刑事訴訟法第二百六十六条第一号前段により、抗告申立人のした前示審判請求を棄却したことは、正当であつて、本件抗告は、その理由がない。

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